仙台エリアのルンルンの種をたねるメディア

blog

深井ゆきえ【気付きを、あえて言葉で】vol.4

フリーアナウンサーの深井ゆきえです。

仕事にプライベートに忙しく過ごしている中で、何気なく見過ごしてしまっていることや、忘れてしまい「なかったこと」になりがちな些細なこと。“伝える”仕事に携わっているフリーアナウンサーの私が、そんな気付きを言葉にしてすくい取り、考えを巡らせ、日々の中で積み重ねていきます。

まさかの出来事が起きた先日…

こうしてパソコンを開けたのはいつぶりだろう。

いや、そもそも久しぶりの自宅とその匂い。落ち着く。身体の中にようやく空気が満ちていくような感覚。心身ともにガチガチに力が入っていたのだと気付かされる。数日ぶりのシャワーは大袈裟ではなく泣けるほど気持ちがよかったし、自分のベッドで眠れることの幸せたるや…。お茶を飲みたいと思ったら飲めるし、外の風を感じたいと思えば窓を開ければいい。家族の、誰かの気配があることの安心感は自分が世の中の一部であると感じさせてくれる。何より「痛くない」時間があることで、ようやく強張っていた心身が少しずつほぐれていくのがわかる。

実は先月、まさかの鎖骨を再骨折。無事手術を終え、先日ようやく退院した。

簡単に経緯を説明すると、去年秋、交通事故に巻き込まれ鎖骨を骨折。リハビリに努め、先月末、体内のボルトとネジを抜く手術をし、ようやく終わりが見えてきたと思ったところ就寝中に激痛が走り、鎖骨を再骨折していることがわかった。抜釘手術からわずか10日あまりの出来事。しかも、抜釘後まもない骨折なため、骨を他の部位から移植、つまり傷口は2箇所になり、強度を増すために傷口自体も前回の2倍以上。その分、痛みも予想以上に強いものだったし、きっと私はこの先鎖骨が見える服は永遠に着ることができないのだと思う。

今回ばかりは恨んだ自分のアンラッキー

よく、運の良い人は自分のことを常にラッキーだと思っている。だから、「ついてないなぁ」とか「私は運が悪い」と思ったとしても、それは口に出さないほうがいい。運のいい人になりたければ、「私は運がいい」と思い込むことからスタートしよう!なんてことを耳にする。

確かに一理あるとは思うのだけれど、今回ばかりは「どうしてこんなことになってしまったんだろう」「どうしてこんなに痛い思いを何度もしなくちゃいけないんだろう」と自分のアンラッキーさを恨まずにはいられなかった。そもそも交通事故に巻き込まれたのも運が悪いとしか言いようがないし(過失割合0)、治ったと思ってボルトを抜いたらすぐ再骨折だなんて聞いたことがない。結果、予定していたイベントの仕事、レギュラーのラジオの仕事も当面は全てキャンセル。そのハレーションは小さくはないし、どれだけの大勢の人に迷惑をかけたのだろうと考えるだけで、もう一本骨が折れそうな気すらしてくる。

アクシデントで気付いた日常の素晴らしさ

今こうして書いていても正直少し落ち込んでくるのだけれど、でもやっぱり、あの痛み(しかも比較的長期間)を経験すると、「痛くない」こと、自分の意志で身体を動かせることの素晴らしさを声を大にして叫びたい気持ちの方が勝る。寝返りが打てるって最高だし(まだ自力では起き上がれないけれど)、自分の足でトイレに行けるって素晴らしいし、ご飯が食べられるって奇跡だし、こうしてパソコンに想いを綴れるってもう生きている証拠そのものだし、鳴っているスマホに手を伸ばせるだけでもありがたいこと。

去年まで一緒に梅仕事をしていた娘たちが手順を覚えていたので、私は口出しのみで、子どもたちが梅シロップと梅干を作ってくれました

病院にいると今日が何月何日で、晴れているのか雨なのか、暑いのか涼しいのかもわからない。私が入院した病院は患者さんの多くがご高齢で、寝たきりの方も多かった。世間はかつての世界を急速に取り戻している一方で、病院の中は未だ面会は大幅に制限されていて「外」を感じられる場面はほぼない。確かに私は「痛い」思いはしたけれど、怪我は確実に良くなるしきっと治る。少し耐えれば家に戻ることができる、ごく短い時間の辛抱だった。それでもやっぱり、外から「断絶」された環境は控えめに言って辛いものだった。

身体の元気はすべての土台だと実感

でもきっと、元気になったら私はまた忘れてしまうのだろうと思う。トイレに行きたいのに、歯を磨きたいのに誰かに頼まないとできないあの申し訳ない気持ち、お水を飲みたいのにあと5センチ手が届かないもどかしさ、次の痛み止めを飲める時間まで、文字通り歯を食いしばりながら時計の針と睨めっこし絶望的にすら感じる時間の経過の遅さ。今回は「期間限定」だったけれど、何十年後これが「日常」になる可能性は大いにある。だから、こうして書き留めておかなければという衝動に駆られている。身体が元気なことってきっと全ての土台だ。身と心は、セットだ。

必然的に爆上がりした夫の家事力。普段やらない料理もこの出来栄え!

元来、運動嫌いの私。でも、動けるうちは動かしていかなきゃ動けない未来が待っていることの切実さを今回痛感した。「今日ってついてないな」そう感じることは誰でもきっとある。でも、身体が動くうちは明日を「ついている日」にできる力が私たちにはある。またリハビリの日々が始まるけれど、以前よりもたくさん歩けて動けて走れるパワーアップした身体を作りたいと今、本気で思っている。

https://tanelun.jp/wp-content/uploads/2022/06/yukiefukai_profile-300x300.jpg
深井ゆきえ

フリーアナウンサー。Date fm「Morning Brush(7:30~11:00)木・金曜担当。元ミヤギテレビ。おいしいものを食べたい欲が人一倍強く、趣味は季節の手仕事というオーガニックオタク。2人の娘の子育てと仕事、自分時間のバランスが目下の課題。

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
yukiefukai

元ミヤギテレビアナウンサー。Date fm「Morning Brush(7:30-11:00)」木・金曜担当。おいしいものを食べたい欲が人一倍強く、趣味は季節の手仕事というオーガニックオタク。2人の娘の子育てと仕事、自分時間のバランスが目下の課題。

  1. 深井ゆきえ【気付きを、あえて言葉で】vol.15

  2. 深井ゆきえ【気付きを、あえて言葉で】vol.14

  3. 深井ゆきえ【気付きを、あえて言葉で】vol.13

コメント

この記事へのコメントはありません。

RELATED

PAGE TOP