フリーアナウンサーの深井ゆきえです。
仕事にプライベートに忙しく過ごしている中で、何気なく見過ごしてしまっていることや、忘れてしまい「なかったこと」になりがちな些細なこと。“伝える”仕事に携わっているフリーアナウンサーの私が、そんな気付きを言葉にしてすくい取り、考えを巡らせ、日々の中で積み重ねていきます。
『何か楽しいことが起きそう』と無意識に思う夏
夏が好きだ。
早朝から容赦なく照りつけるギラギラの日差しも、むせ返えるような濃い緑の匂いも、他の音を全部かき消すほどの勢いのセミの大合唱も、ワンピース一枚でどこにでも行ける身軽さも、ごくごくと喉を鳴らして飲む麦茶も、毎日食べても飽きない枝豆も。
おそらく無意識で「今日も何か楽しいことが起きそう」と思っているのだろう。早起きが全く苦にならないし、洗濯物を干しながら汗をかくことすら楽しめてしまうほど夏は心が躍る。もちろん体温超えの異常な暑さは勘弁だけれど。
そんな待ちに待った夏の到来と同時に向かったのは、南三陸の海。こじんまりとした美しいビーチ。キラキラと水面が光り、自分の足が透けて見える透明度。ちょっと冷たくて最初は勇気が要るけれど、一度入るとなんとも気持ちが良い。子どもたちは、なまこやヒトデ、小さなカニを見つけて大騒ぎ。この生態系の豊かさも素晴らしい。4年ぶりに出店も出ていて、胸が高鳴る。焼きそば、キーマカレー、きゅうりの一本漬けに冷凍パイン。どうしてこんなに美味しいんだろう。
日本海で育ち、海で遊ぶ楽しさを知ったのは大人になってから
海で遊ぶことがこんなに楽しいなんて、大人になって初めて知った。「海は危ないから絶対に行かない」という方針の両親のもと日本海の荒波が押し寄せる富山県で生まれ育った私は、美味しい海産物はたくさん食べてきたのに、海で遊んだことがなかった。
大学時代、アルバイト仲間に連れられて訪れた関東のビーチは人の多さに辟易し、しらす丼をお腹いっぱい食べたことしか覚えていない（笑）。以来、海に入ったのは海外旅行の時だけ。だから、初めて東北の海に入った時はその冷たさに心臓が止まるかと思うほど仰天した。
震災後は何年も足を踏み入れることができなかったけれど、数年前に勇気を出して訪れた時、その気持ちよさ、何より地元の方の「また来てね」という言葉に「来ていいんだ…」とハッとした。楽しいと感じることへのちっぽけな罪悪感を、海が全て包み込んでくれた気がした。
夏の海の幸をたっぷり堪能
ここ数年リピートでお邪魔している、漁師さんが営むお宿がある。一度訪れて以来、そのとびきり新鮮な旬の海産物の魅力にすっかり虜になったのだ。都内に住む義家族もまた然りで、ウニの時期にぴたりと合わせて数カ月前からスケジューリングしてやってくるほど（笑）。
今年も３世代で今だけの海の恵みをこれでもかと堪能してきた。大好物のウニ、ホヤ、ツブ。一口味わうたびに目を閉じて唸ってしまう。お酒は強くないのに、思わず日本酒に手が伸びる。ああ、この鮮度はやはりここに来なければ味わえない。なんたる贅沢…。「来年も来ます！」と約束し、後ろ髪を引かれつつも、帰りはさんさん商店街でお土産に酒の肴をたんまりと買い込んできた。
海からスタートしたこの夏。山も川も温泉も夏祭りもライブもまだまだ行きたいところ、やりたいことがたくさん。「夏休み」なんてない大人になっても、娘たちと同じ勢いで夏に対して貪欲な自分が少し意外で、でもちょっといいなと思ったりもしている。そう、今年の夏は特に。2023年夏、楽しみましょうね！
フリーアナウンサー。Date fm「Morning Brush（7:30～11:00）木・金曜担当。元ミヤギテレビ。おいしいものを食べたい欲が人一倍強く、趣味は季節の手仕事というオーガニックオタク。2人の娘の子育てと仕事、自分時間のバランスが目下の課題。
コメント