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カジュアルでOK!街なかの茶室「面白庵」《#調べてTANELUN》

今回の《街なかの気になる》は?

仙台の街なかの「気になる」こと・もの・スポットを、タネルンがリサーチする《#調べてTANELUN》。寄り道感覚で気楽に、時にはマニアックなところまでじっくりと掘り下げれば、夢中になれるものが見つかるかも!

今回は、仙台の街なか・青葉区本町のとあるビルへ。

運動不足のTANELUNスタッフが息切れしながら階段を上り、4階へたどり着くと…

「面白庵」と書かれた扉が出現。

「失礼しまーす…」

多目的茶室「面白庵」とは

そっと扉を開くと、そこには落ち着いた和の空間が。2021年の3月に誕生した、多目的茶室「面白庵(おもしろあん)」です。

まず目を引くのは、伊達政宗公の陣羽織を表現したというカラフルなガラス窓。秋保の「ガラス工房 尚」でおなじみの職人・鍋田尚男さんが手掛けたものなのだそう。

大きな窓からは錦町公園の大きな木々が揺れるのが見え、日本庭園のある茶室さながら。仙台の街なかにいることを忘れてしまうかのような雰囲気に、一気に肩の力が抜けてリラックス気分。

庵主は、茶道家の小谷一仁(こたにかずひと)さん。茶道に出合って20年以上になるという小谷さんは、以前は証券会社に勤めながら茶道家としての活動を両立。

「リモート」が普及し移動時間が短縮したかと思えば、その時間にまた新たな仕事が入る…。そんなコロナ禍で、「時間に追われがちな忙しい現代こそ、茶道に触れることで心豊かに過ごしてほしい」という思いが強くなったのだそう。

茶室では、小谷さんが茶道教室「日々是好日(ひびこれこうじつ)」を開催。『どこよりも気軽に行ける茶道教室』をコンセプトに、茶道では珍しい単発で参加できる教室やイベントが行われています。

コースは気軽にお茶を点てる体験ができる「入口編」と、お茶を深く学びたい人向けの「お点前(てまえ)編」の2種類。どちらも初心者OK、都度の会費制(通常1回2000円)なのが、うれしいですね。

さらに、金・土曜は「且坐(しゃざ)喫茶」としてカフェ営業も。ふらっと訪れて、抹茶や和のスイーツを楽しめます。

仕事帰りにお稽古に参加!

お稽古は茶道未経験の私でも大丈夫とのこと、日をあらためて実際に参加してみることに。金曜19時前、居酒屋に向かう仕事帰りの人で賑わう中、再びこちらのビルを訪れました。

この日、参加したのは「入り口編お稽古~口切りスペシャル~」。…口切りとは?と頭にハテナが浮かびつつも、ひとまず教室へ。

今回は定員8人で満席。初参加や20~30代の同年代の参加者もいると分かり、ちょっぴり安心。私服はもちろん、仕事帰りにスーツで参加している方もいましたよ。

11月は「茶人の正月」

お稽古は、お茶の話から。11月は茶人にとって特別な月「茶人の正月」と呼ばれているそうです。

その理由の一つは、お湯を沸かす道具が変わること。

5月~10月は、畳の上に置く「風炉(ふろ)」と呼ばれる道具を使用。そして、11月からは畳を開けて、写真のような囲炉裏の「炉」で火を起こします。それを「炉開き(ろびらき)」といい、無事にその日を迎えられることをお祝いするのだそう。

今回体験する「口切り」も11月の特別なイベント。

こちらの茶壷には、5月に収穫した新茶を加工した「碾茶(てんちゃ)」と呼ばれる茶葉が入っています。

半年寝かせた碾茶を、ようやく石臼で挽いて抹茶として味わえるのが11月。封じられた茶壷の口(和紙の部分)を切ることを「口切り」と呼ぶのだそうです。

こちらがその「碾茶」。よくイメージする抹茶の色より、かなり深い緑色。

(なんだか、青のりみたい…)

私の心の声が漏れたのかと思いきや、別の参加者さんがひとこと。香りはしっかり「お茶」です!

抹茶挽き体験!

いよいよ、石臼に碾茶を入れて抹茶を挽いていきます。お茶の大敵は「熱」とのこと。摩擦熱が起きないように、程よいスピードで回していきます。これが意外と重たい…!

回しているうちに、鮮やかなグリーンの抹茶が出てきました!実は販売されている抹茶は、今でも石臼で挽いて作られているそう。金属の刃ではここまで細かくならないそうですよ。

なんと人数分の抹茶を挽くには、1時間以上回し続けなければいけないとのこと…!お茶にまつわるお話を聞きつつ、交代しながら石臼を回していきます。

その間に抹茶を点てる練習も。貴重な抹茶で失敗はできないので、まずは別のを使って。

上下にシャカシャカ…

できた!と思って小谷さんが点てた抹茶を見ると…

ふわっふわっ!!もっと泡のキメが細かいんです!当たり前だけど、こんなに違うものなんだな~(写真はもちろん、わたし作)。

茶道では、抹茶をおいしく味わうために、先にお菓子をいただきます。左は「ゆずもち」。「『炉開き』は、ゆずが色づく頃に」という千利休の言い伝えがあるそうで、この日にぴったりのお菓子です。

挽き立てをいただきまーす

ようやく全員分の抹茶が挽き終わった頃、新たな和菓子が登場。

「わ~!きれい~!!」

ずらりと並ぶ鮮やかな生菓子に、感嘆の声とともに思わず拍手が。「入り口編」のお稽古では、できるだけ色々な和菓子に触れてほしいという思いから、さまざまな種類を用意しているそう。多い時は、仙台市内のお店を5軒も巡っているそうです。

ケンカにならないように(?)と、小谷さんが用意してくれたのが「花月札」。くじ引きでお菓子を選ぶ順番を決めていきます。こちらも、きちんとした茶道の道具なのだそう。

私が選んだのは「織部まんじゅう」。炉開きでは、「織部(おりべ)、伊部(いんべ)、瓢(ふくべ)」という3つの「べ」が付いた道具がそろうと縁起が良いとされているのだとか。その「織部焼」の茶碗を象徴する深緑色を取り入れたおまんじゅうです。

意味やストーリーを知ると、小さな和菓子が一層愛おしくなりますね。何だか食べるのがもったいない…!

そして本日の主役、挽き立ての抹茶をいざ! 抹茶にお湯を注いだ瞬間、香りがふわ~っと漂います。

まろやかな苦みの後から、やってくる幸せな甘さ…!!練習用でいただいた抹茶も十分おいしかったけれど、挽き立てとの違いを実感。香りと味わいに深みがあります。

上手に点てられれば、もっとおいしいんだろうな~!(お稽古通って、来年の口切りにリベンジしたいな…!)

気軽に抹茶を

抹茶の大きな特徴は、茶葉そのものを飲むということ。文化的なイメージが強いお茶ですが、体にうれしいメリットがあったり、単純においしさを楽しんでも良いんだな~と新たな発見がありました。

「茶筅(せん)と茶碗さえあれば、自宅でも抹茶は点てられるので、気軽に自宅でも楽しんでほしい」と小谷さん。

抹茶を一服楽しむために、5月に摘んだ新茶を半年寝かせて、さらに石臼で時間をかけて挽く―。なんて贅沢なんだろう。時間に追われる日々を忘れて、不思議と心が満たされました。

『どこよりも気軽に行ける茶道教室』というコンセプト通り、専門用語や抹茶の点て方が分からなくても、気兼ねなく参加できる雰囲気。足がしびれやすいことも密かに心配でしたが、少し崩しても大丈夫でした!(笑)

仕事帰りに「一杯」ではなく、たまには「一服」しに行くのも良いかもしれませんね。

問い合わせ/多目的茶室「面白庵」
宮城県仙台市青葉区本町2-19-9 クリスタルパレス本町ビル東側4F
https://omoshiroan.sado.life/
※お稽古やイベントの予約はホームページから

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