フリーアナウンサーの深井ゆきえです。
仕事にプライベートに忙しく過ごしている中で、何気なく見過ごしてしまっていることや、忘れてしまい「なかったこと」になりがちな些細なこと。“伝える”仕事に携わっているフリーアナウンサーの私が、そんな気付きを言葉にしてすくい取り、考えを巡らせ、日々の中で積み重ねていきます。
“一日ひとつずつ”と決めてかみしめているもの、それは…
秋が短い。短すぎる。ついこの間まで氷入りの麦茶をがぶ飲みしていたのに、いつの間にか身体がシナモンたっぷりのチャイを欲している。衣替えも終わっていないのに、一昨日からは冬の布団がちょうどいい。
洗濯物を取り込もうとしたある日の夕方、突然やってきた金木犀の甘すぎる香り。眺めていると吸い込まれそうに感じる高くて澄んだ空。ふと人恋しくなる夕暮れ。まだまだ感じていたいのに、感じ足りないのに、史上最速のスピードで駆け抜けていってしまう…。
そんな秋を少しでもとどめておきたくて、一日ひとつずつと決めてかみしめているものがある。今年初めて作った「いちじくの甘露煮」だ。
密かに憧れていた、いちじくの甘露煮作り
そう、何年も前から言ってみたかった。「いちじくの甘露煮を作りました!」と。
いちじくの甘露煮。実は20年前に宮城に来て初めて聞いた言葉だ。生のいちじくすら手に入りづらいのに、それを煮る?どういうこと??と思っていたのだけれど、数年前友人から手作りのいちじくの甘露煮をもらって、そのおいしさの虜になった。以来、密かに憧れていたのだ。「私もいちじくを煮てみたい」と。
自己肯定感がアップする時間の過ごし方を実感
砂糖とレモン汁で煮るのが宮城の一般的なレシピのようだが、ちょっと「大人感」を出したかったので(初めて作るくせに!)、そこに赤ワインを入れてみた。これが大正解。香りもいいし、砂糖のダイレクトな甘みをまあるくしてくれて、贅沢感もグレードアップ。
何より、ぐつぐつと「煮込む」という行為が秋そのもの。ゆっくり弱火で落とし蓋をしながらコトコト。思っていたよりずっと簡単手軽な工程だけれど、「ああ、わたしは今すごくいい時間を過ごしてる!」と自己肯定感も爆上がりしちゃうというおまけ付き。。
どう食べるか考えを巡らせるのも一興
今日はヨーグルトにかけようかな。いや、バゲットにチーズと一緒に乗せて食べるのも捨てがたい。仕上げにかけるのは黒胡椒かシナモンか…。紅茶と合わせてちびちび頂くのもいいなぁ。そんな毎日のささやかな楽しみも、もうすぐなくなりそうだ(泣)。もう少し秋を味わっていたいから、今日も一日ひとつ、と決めてちびちびと味わっている。
宮城の郷土料理「いちじくの甘露煮」を作ることができた2023年秋。宮城に住んで20年、少し本物の東北人に近づけたような気がしている。でも、来年はもっとたくさん仕込むぞ〜!!!
フリーアナウンサー。Date fm「Morning Brush(7:30~11:00)木・金曜担当。元ミヤギテレビ。おいしいものを食べたい欲が人一倍強く、趣味は季節の手仕事というオーガニックオタク。2人の娘の子育てと仕事、自分時間のバランスが目下の課題。
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