フリーアナウンサーの深井ゆきえです。
その場の空気作りを求められる“司会”や、映像とともに分かりやすく情報を伝える“テレビ”、音声でリスナーの日常に溶け込む“ラジオ”などさまざまなシーンで「伝える」に向き合っている経験から、日々のコミュニケーションがちょっと楽に、楽しくなるような話題をゆるりとお届けしていきます。
人生初の交通事故から復帰、ようやく「いつも通り」に近い生活に
久しぶりのコラムになってしまいました。1カ月ほど前に人生初の交通事故に巻き込まれ鎖骨を骨折し、入院・手術を受けていました。幸い術後の経過は順調で、今はリハビリに励みつつ仕事もプライベートも限りなく「いつも通り」に近い生活を送ることができています。
週末、紅葉狩りをして寒さを我慢しながら栗のジェラートを頬張ることができるくらいに。
居場所がなくなるー、そんな不安とは真逆の世界があった
怪我をした瞬間のことはあまり記憶にないのですが、身体は全く動かないのに頭はフル回転していたことは鮮明に覚えています。「子どものお迎えを手配しなくちゃ」「明日のラジオ収録は無理だと連絡しなくちゃ」「原稿の締め切りを伸ばしてもらわなきゃ」―。あまりの痛みで頬をつたう涙が止まらないにも関わらず、です。
同時にこうも思いました。「こんなにたくさんの人に迷惑をかけてしまった。きっと私の(仕事上の)居場所はなくなる」と。
私は今、フリーランスで仕事をしています。組織に属していないため、代わってくれる人は誰もいない。仕事に穴を開けること、迷惑をかけることは絶対に許されない。一度穴を空けたら最後、全ての信頼を失い2度とその仕事はできない。そう思っていました。
でも、いざ蓋を開けてみたら、そうではなかった。私が完全に抜けてしまった約1カ月弱、「こっちのことは任せて」と生放送を代わってくれた方々、その裏で細かな調整をしてくれた方々、そして「無事でよかった」「今は回復に専念して」「復帰、待ってます。でも、絶対焦らずに」と温かすぎるメッセージをくださったラジオのリスナーの皆さん。
そこには想像していたのとは真逆の優しい世界がありました。私の居場所はなくならなかった。信じられないほど多くの人に迷惑をかけたにも関わらず。
誰が欠けるか分からない今こそ“助け合い”を当たり前に
約1カ月ぶりの3時間半のラジオの生放送ではこんなメッセージも頂きました。
「インドでは子どもにこう教えるそうです。お前は人に迷惑をかけて生きられているのだから、人に迷惑をかけられても許してあげなさい、と」。素敵な考え方ですよね。物心ついた時から他人様に迷惑をかけないようにと教えられてきた私たちにとっては簡単なことではないけれど、決して不可能じゃないと、私の周りの方々が身をもって教えてくれました。
いつ誰が体調を崩して欠けてもおかしくない状況が長く続いています。互いに迷惑をかけることを前提に、助け合いが当たり前の社会に少しずつでもシフトチェンジしていけたらー。
今回のけがをきっかけにまずは身の回りから!と家庭内の意識改革=家事分担表を作成している今日この頃です。
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フリーアナウンサー。Date fm「Morning Brush(7:30~11:00)木・金曜担当。元ミヤギテレビ。おいしいものを食べたい欲が人一倍強く、趣味は季節の手仕事というオーガニックオタク。2人の娘の子育てと仕事、自分時間のバランスが目下の課題。
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