フリーアナウンサーの深井ゆきえです。
仕事にプライベートに忙しく過ごしている中で、何気なく見過ごしてしまっていることや、忘れてしまい「なかったこと」になりがちな些細なこと。“伝える”仕事に携わっているフリーアナウンサーの私が、そんな気付きを言葉にしてすくい取り、考えを巡らせ、日々の中で積み重ねていきます。
次女と訪れたおしゃれカフェでの出来事
その手のサイズにはちょっと大きめのナイフとフォーク。いつも家では隙あらば手を使って食べようとして私に怒られる9歳が、急に別人のようにマナー良く、口元まで押さえて「美味しい!」と目をハートにしている。
1番のお気に入りのイヤリングを耳元で揺らしながら、彼女が頼んだドリンクはピリッと辛い大人のジンジャエール。ああなんて愛おしい背伸び…。
運動会の振替休日の月曜日。たっぷりと雨が降るなか次女のリクエストで訪れた、おしゃれカフェでの出来事。平日にカフェでまったり。理想的な昼下がり!
まさか娘の方からカフェに誘われる日が来ようとは。毎日、目の前の命を守ることに文字通り髪を振り乱して必死だった数年前には考えもしなかった「未来」が現実として今、目の前に横たわっている。その幸せを噛み締めつつ、「こうやって一緒にお出かけできるのはいつまでだろう」そんな思いが脳裏をよぎる。
我が子の成長を目の当たりにし、感傷に浸っている私を娘が激写
先日、ラジオのリスナーさんからのメッセージで「子どもが小さい頃は1日も早く“大きくなって”と思うのに、子どもが成長したら“まだ子どもでいて”と思う。親は身勝手な生き物ですね」とあったけれど、まさにだ。なんて自分本位と呆れつつ、慣れないナイフとフォークに格闘している娘を目の前にすると「このまま時間が止まればいいのに」と願ってしまう。子の成長は嬉しくて誇らしくて幸せで…こんなにも切ない。
そんな感傷に浸る私をスマホで撮影してくれた写真がこちら。どうやらアプリの「エモい」モードらしい。確かに、カフェのオシャレ感がより際立ってる気もする。でもママ、タカラジェンヌみたいなメイクになってるよ?つけまつげみたいなのついてるよ??でもこれもまたきっと良い思い出。今度は中学生の長女も一緒に本を持ってゆっくり来ようと約束した。
子育てのジンジャーエールの味わいは似ているのかも
翌日。ピリッと辛いジンジャエールがお気に召した次女と、早速自宅でジンジャエールを作った。カルダモンとクローブとシナモンと黒糖、そしてたっぷりのジンジャーで。ピリッと辛くて甘くて香りと後味はどこまでも爽やか。美味しい。
もしかしたら子育ても振り返るとこんな味わいなのかもしれない。ピリッと辛くて複雑で、甘い。香りや味覚は記憶と直結するという。きっとジンジャエールを飲むたびに私はこの日を、カフェでの出来事を思い出す。もう一度じっくり味わい、スパイスの香りを吸い込む。この幸せの瞬間を忘れないように、いつでも思い出せるように…。
フリーアナウンサー。Date fm「Morning Brush(7:30~11:00)木・金曜担当。元ミヤギテレビ。おいしいものを食べたい欲が人一倍強く、趣味は季節の手仕事というオーガニックオタク。2人の娘の子育てと仕事、自分時間のバランスが目下の課題。
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