フリーアナウンサーの深井ゆきえです。その場の空気作りを求められる“司会”や、映像とともに分かりやすく情報を伝える“テレビ”、音声でリスナーの日常に溶け込む“ラジオ”などさまざまなシーンで「伝える」に向き合っている経験から、日々のコミュニケーションがちょっと楽に、楽しくなるような話題をゆるりとお届けしていきます。
前回、コミュニケーションにおける相づちの大切さのお話をしましたが、今回はその続き。
「相づち」と検索すると実にいろいろなテクニックが出てきますね。「さしすせそ」がいいとか、「あいうえお」がいいとか(笑)。相づちのバリエーションを増やすことももちろん良いですが、実はその相づち、シーンごとにちょっとした違いがあるんです。
シーンによる相づちの使い分け、「対面」で大事なのは?
私は大きく3つに分けて考えています。
1. 普段の会話(対面)
2. 動画やオンライン(映像&音声)
3. 電話(音声のみ)
前述した基本の相づち「さしすせそ」テクニックが使えるのは、おそらく1の場合。個人的には普段の会話はテクニックよりも相手の目を見て心を込めること、その一点のみだと思います。大切なのは「聞いてるよ」という気持ちですよね!
「動画やオンライン」では、○○○○○○が大事
2の場合、これがちょっと特殊なんです。TVや動画の取材では、基本的に「声」の相づちは禁止。なぜなら相づちは動画を観ている“第三者”にとっては邪魔な音だから。動画を観ている人からすると、相づちがあることで聞きづらくなってしまうんですね。(相づちがあると後の編集がしづらくなるというのも内部事情としては大きな理由ですが、ここでは割愛します)
でも、相づちがないと相手から話を引き出すことはとても難しい。そこで私たちが何をしているかというと、とにかく大袈裟に「リアクション」するんです。「声」で「うんうん」と言えない代わりに、身体で表現する。目を大きく見開いたり、大きく頷く仕草をしたり…。とにかく、「声」以外の全身を使って「聞いています」をアピールしています。
先日も、声の相づち絶対禁止!な現場があったのですが、終わった頃には顔が筋肉痛になっていたほどです(笑)。
「電話」での相づちが、一番難しい!?
3は私もまだ勉強中で、実は一番難しいかもしれないと感じています。特に私の場合は、ラジオでのインタビューがこのパターン。感覚としては、1と2の中間といったところでしょうか。相づちがありすぎると聞きづらい、あるいは相手が「話を遮られている」と感じてタイミングがずれてしまう。一方で2のように身体で表現しても伝わらないので、声も適度に必要。
ケースバイケースなので一概には言えませんが、私の場合、電話での相づちは普段の半分くらいの回数、ボリュームも落として行うことを意識しています。今、電話を苦手とする若い世代の方が多いそうですが、こんな相づちの難しさにも一つ要因があるのかもしれませんね。
今回はちょっとマニアックな話になってしまいましたが、あなたのオフィスや生活のシーンで拾えるところがあれば嬉しいです。
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元ミヤギテレビアナウンサー。Date fm「Morning Brush(7:30-11:00)」木・金曜担当。おいしいものを食べたい欲が人一倍強く、趣味は季節の手仕事というオーガニックオタク。2人の娘の子育てと仕事、自分時間のバランスが目下の課題。
聞き手のリアクション次第で話しやすさが変わるので、聞き方、相づちが大事ってすごくわかります。オンライン会議ってみんな無表情にもなりがちなので、ちょっと意識するだけで会議がもっと活性化するかもしれないですね。